お笑いが大好きで、浅草の寄席に憧れつつも、なんとなく敷居が高くて行ったことがありませんでした。
ようやく今年のお正月、ナイツとおぼんこぼん師匠が同時に東洋館に出演される日があると知り、娘を誘って行ってきました。
果たして満席にならず席は取れるのか? そもそも東京の寄席ってどんなところ? おすすめの席は?
初めての寄席体験をレポートいたします。
東洋館の基本情報
★正式名称:「浅草フランス座演芸場 東洋館」
★座席数:202。あ列~け列(センターブロック)
あ列~こ列(サイドブロック)
★チケット料金:大人2500円。14:30以降に入場すると2000円。
★ストリップ劇場「フランス座」を改装し、いろもの(漫才、漫談、コント、マジック、曲芸、紙切りなど)専用の演芸場として2000年にオープン。
★漫才協会、東京演芸協会、ボーイズ・バラエティー協会による興行が期間を分けて行われる。
★同じ建物の1階に落語の寄席、浅草演芸ホールがある。
★年中無休
電車でのアクセス
★つくばエクスプレス浅草駅から徒歩30秒
★都営浅草線・メトロ銀座線・東武スカイツリーライン浅草駅から徒歩10分
いやー、知りませんでした。東洋館の1本隣の通りに、つくばエクスプレスの駅があるんですね!
私は都営地下鉄で行ったのですが、駅から、浅草の目抜き通りである、雷門通りをまっすぐ進み、雷門を通り過ぎて、「すしや通り」(雷門を過ぎて5本目の通り)へ右折、そのまま商店街を直進すると左手にありました。
平日でも賑やかな観光地ですから、町の風情を楽しみながら歩いていたらすぐに到着しました。徒歩10分もあったっけという印象です。
帰りはルートを変え、仲見世通りを通って雷門をくぐり駅へ。
東洋館は浅草寺に近く、浅草観光とワンセットにできる、とてもいいロケーションです。
この日は夕食の支度のため、そそくさと帰宅したのですが、夕方まで寄席を楽しんだあと、夕暮れの浅草寺周辺をお散歩し、軽く飲んで帰る…なんて最高だろうな〜と思いました。
正午開場 12時30分開演 さて何時に並ぶ?
観に行ったのは、ナイツの塙さんが会長を務めておられる漫才協会主催の、漫才大行進(毎月1日~19日)です。
全席自由。席の予約はできません。
ナイツの出る日は混むという口コミを読んで、開場30分前に現地到着予定で出かけましたが、アクシデントで到着が遅れ、着いたのは12時前でした。
建物の前に、既に並んでらっしゃる方々が20〜30人。
しかしそちらは招待券の列らしく、当日券の方はすぐ入場できますよ、と法被の男性に案内されました。
「お弁当を買ってから入場したいのですが、まだ座れますか?」 と聞いたら「大丈夫だと思います」、とのお返事だったので、大急ぎで近所のコンビニでサンドイッチやお菓子などを買い込んで、12時5分頃入場しました。
入口で入場券を買い、ビートたけしさんがエレベーターボーイをしていたという、小さなエレベーターに乗って上階へ。
まだ席はあるかな~と大慌てで入場したものの、ホールに入るとお客さんはまだほとんど入っていませんでした。(平日は余裕があるようです)
席選び放題の状態だったので、センターブロック2列目の真ん中あたりにしました。
舞台は目と鼻の先です。
そのうち、招待券のお客さんたちも入場され、席が埋まっていきました。
座席での飲食自由
常連さんらしき方々は、入場後すぐにお弁当を広げておられました。ちょうどランチタイムですので、私たちも買ってきた物を食べながら開演を待ちました。
ロビーにある売店は、グッズなどの土産物の販売がメインなのか、スナック菓子やおつまみ、ビールはあるものの、お弁当類は売っていません。
私たちは急いでいたので、すぐそばにあるローソンに買いに行きましたが、東洋館の向かいにあるドンキホーテにも食品がありますし、テイクアウトできる飲食店も周辺にたくさんあります。
最後まで見ると4時間以上あり、一時外出、再入場は不可なので、何か必ず食べる物を持っていってくださいね。
いよいよ開演
まず、幕前で芸人さんの前説がありました。
幕が上がると出演者名のめくりがあり、出囃子と共に漫才コンビが登場します。
トップバッターはシリアル。早速テレビではできなそうなネタが飛び出します。
持ち時間は1組10分で、およそ1時間ごとに仲入りと呼ばれる休憩時間が20分ほどあります。しかし、生の舞台ですから、時間調整も臨機応変。この日はお休みが1組あったため、「もう1ネタやりまーす」と、その場での延長もありました。
休憩のタイミングが絶妙で、4時間疲れずに最後まで見ることができました。
オススメの席
言うまでもなく真ん中のブロックです。
両サイドの席は、少し斜めに席が配置されているものの、漫才はほぼ舞台中央から移動しないため(しかもマイクはかなり舞台の前のほうにある)、サイドに座ると首を回した状態で見なければならず、特に前方の席で長時間見るのは厳しいと思います。
そして寄席に来た臨場感を味わいたいならできるだけ前方がいいでしょう。
待ちに待ったナイツのネタが始まるやいなや、塙さんは私を見ながら言われました。「今年のお正月はどんなふうに過ごされましたか?」
「えっ! 答えなきゃいけないのかな? でも大したことしてないしなあ…どうしよう?」とマジで一瞬考えてしまいました。(笑)
塙さんはいつもあんなふうに客席に問いかけるような話し方だよ、と娘に後から言われ、それもそうだなと思ったのですが、何か答えたらアドリブで返してもらえたかもしれません。そういうのもまた寄席の醍醐味だと思います。
芸人さんが娘のリアクションに反応された時もありましたし、前に座ると面白いですよ。
ただし、最前列や、前列の端の席は常連さん向けかと思いました。
常連さんは出演者の方が袖に戻る時、タイミングよくお土産を渡されていましたから。
私たちが行った日、舞台かぶりつきの席に大学生くらいの若い男性が2人座っておられましたが、おぼん師匠に「キミらお土産は?」とイジられてましたっけ。(笑)
漫才大行進の感想
面白かった。
その一言に尽きます。
音楽ライブのコール・アンド・レスポンスと同じで、寄席というのは、芸人さんたちが客席と一緒に作っていくもんなんだなと思いました。
それぞれの芸人さんの持つ空気感というか、人間味のようなものが、至近距離でビシビシ伝わってきます。テレビの寄席では感じたことのない独特の味わいでした。
この日一番笑ったのは初めて拝見するインスタント・ジョンソンで、笑いすぎて涙をハンカチで拭いていたら、舞台から視線が…(笑)
そのほかにも「出来損ないと死に損ない」がキャッチフレーズの、シニア世代新人コンビ高円寺K、元夫婦漫才のはまこ・テラこ、民謡漫才のコンパス、哀愁漂うコウメ太夫、体操トリオのビックスモールンなどなど、私は寄席に来たんだ!という喜びを感じさせてくれるグループがいくつもありました。
終演後、階段を下りて表に出ると芸人さんたちに会ってしまい、ちょっと…気まずかったです。
洗面所に行ったりして退館が遅かったためなのですが、ここは楽屋口がないため、エレベーターでも遭遇することがよくあるそうです。
おぼんさんたちご一行は、どこかに打ち上げに行かれるご様子でした。
子どもの頃から知っている芸人さんがすぐそばにいらっしゃる不思議な感覚、浅草の風情ある粋なムード。たくさん笑っただけでなく、1つの伝統文化を体験した誇りみたいなものまで感じられ、とても思い出深い1日となりました。
東洋館まとめ
入場料 大人 2500円
公演時間 4時間30分
客の男女比 6:4(ざっと見の印象です)