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【ありがとう、そして、さようなら】アークヒルズライブラリー その1

【ありがとう、そして、さようなら】アークヒルズライブラリー その1

2023年のアークヒルズライブラリーに続き、2024年6月末には六本木ヒルズライブラリーも閉館することを知りました。森ビルが運営するアカデミーヒルズのライブラリー施設はついに消滅してしまいます。
こちらの会員であった1年半は、長いフリーランス生活の中でも素晴らしい思い出として、私の心の中でひときわ輝いており残念でなりません。

様々な刺激と学びを提供してくれたこの施設に感謝の気持ちを込めて、アークヒルズライブラリーと、六本木のアカデミーヒルズで行われた坂本龍一さんのトークショーの思い出について記録しておこうと思います。(トークショーについては次回に記載します)

アークヒルズライブラリーとの出会い

四季折々の寄せ植えが美しいアークヒルズ。
六本木一丁目駅からサウスタワーに入る瞬間から気分があがる。

6~7年前、たまたま赤坂アークヒルズに派遣社員として出向いた時、ロビーのポスターを見て興味を持ち、その日の仕事が終わると同時に見学に向かったのがこのライブラリーとの出会いでした。
場所はアーク森ビルの最上階、37階です。

季節のしつらえがなされたライブラリーのエントランス。
この時は鯉のぼりが飾られていた。

施設の高級感に目を見張る

見学に行くと、制服をお召しになった上品なコンシェルジェの女性に案内されました。
壁一面の本棚にたくさんの蔵書が並べられている広々としたライブラリースペースには、カフェ風のテーブルとカウンターが設置され、リラックスした雰囲気です。

利用客は多くなく、席はたくさん空いていました。

こちらは飲食OKのライブラリースペース。写っていませんが
ぐるりと本棚あり。もちろんすべてのデスクに電源完備。
ビジネス書を中心に、美術・インテリア書まで豊富な蔵書があり、
新刊だって読み放題。


その隣の部屋は会話禁止のワークスペースで、パーティションで1人分ずつ仕切られたデスクに、ハーマンミラーのセイルチェアがずらり。
どちらの部屋からも、大きな窓越しに都心が一望でき、レインボーブリッジまで見渡せる眺めのよさです。

コロナ前から、デスクはパーティションで仕切られていた。
都内が一望できる素晴らしい眺めに圧倒される。

取引先との込み入った話も気兼ねなくできる防音の電話ブースや、月極ロッカー(別料金)まである。同じフロアに年会費100万単位の会員制レストランがあるためか、化粧室は大理石張りでピカピカ。
これが使い放題でひと月1万円ですって?! 

迷わず会員になりました。

究極の利便性と快適さ

月極ロッカーを借りてノートパソコンを預け、足繁く六本木一丁目駅に通う日々が始まりました。ライブラリーの営業時間は朝7時から24時までと長く、基本的に年中無休というのも魅力の1つでした。

ある週末の午後ライブラリーに出向いたところ、ビルの入り口で警備員が仁王立ちしています。
ウィンドウに貼ってある注意書きを見ると、「殺虫作業のため本日全館休業」と書かれています。
あーやっちまった。
しかし、その下に「アークヒルズライブラリーは17時~24時営業」と併記されているではないですか!

アークヒルズの入退場ゲートは近未来的でかっこいい。

そこで近くのカフェで時間をつぶし、17時に入館しました。
普段はひっきりなしに人が出入りする大型オフィスビルの広いロビーには、当然ながら人影がまったくありません。
IDカードでロビーの改札を抜けた後、エレベーターのセンサーにカードをかざすと、ゴゥオーンとエレベーター君が動き出し、私を37階まで連れて行ってくれました。

ライブラリーにはコンシェルジェ1人と私を入れて利用客が3人。
この巨大な森ビルに、今数人しかいない。でも営業してくれている。
とても感動しました。

夕暮れの窓からの眺め。土砂降りの日の眺めもまた一興だった。

森ビルの文化事業ゆえ

都心にあるオフィスビル最上階を月1万円で一般客に開放したところで、利益が出るとはとても思えません。なぜこのように極めて高級仕様の施設が安価に提供されているのか。

その答えを、後日ライブラリー内の広報誌で知ることになり、心を動かされました。
アカデミーヒルズのホームページには下記のように書かれています。

真理は生涯にわたり追究されるものであり、学習は一生におよんで継続される人生の活動である。しかるに、現在の教育体制は人生の極めて初期に集中した努力を要請する一方、それ以後においては適切な機会を提供しえないでいる。(中略)ここでの学習と交流を基盤に幾多の人材が輩出し、世界の未来の発展に寄与されることを期待するものである。森泰吉郎


森ビル創業者の森泰吉郎氏は、1986年にアークヒルズを開業後、「アーク都市塾」(現在の「アカデミーヒルズ」)を開き、大人がいつでも本を読み、学び、交流できる場所を提供しました。ライブラリーはこういうコンセプトのもとに作られた森ビル文化事業の1つだったのです。

私が入会した当時、まだ東京でもほとんど見かけなかったシェア型ワークスペースのはしりであり、その後、次々と似たような形態の施設が出来ては消えていきました。

何か所か別の施設もドロップインで利用したことがありますが、やはりこのライブラリーは別格でした。

私のようなフリーランスにとって、孤立せず、また時間を気にせず、思う存分安心して働ける理想的な環境でした。

仕事環境の大切さを教えてくれた

今でこそ、リモートワークが当たり前の世の中になりましたが、25年前から在宅ワーカーだった私は、「家で仕事できていいね」とよく言われていました。
実態は狭い部屋にデスクを押し込み、肩こりや眼精疲労やむなしの全然恵まれていない環境でパソコンに向かっていたのに、子供の世話をしながら、家事をしながら、「家で仕事ができる私は恵まれている」と思い込んでいました。


アークヒルズに通うようになって、環境が仕事の質に直結することを実感しました。実際、仕事は絶好調でした。

残念ながらデスクの写真が残っていないのですが、ライブラリーのデスク環境はとてもよく考えられていました。幅よりも奥行きがあるデスク。これが非常に使いやすいのです(腕が疲れない)。デスクは横長が当たり前だと思っていたので、これは驚きでした。
1脚10万以上するセイルチェアは、シートの奥行きや角度、肘の高さ、(うろ覚えですが)確かメッシュの固さまで調整でき、小柄な私でも快適に座れます。そのおかげで姿勢を気に留めることなく仕事に集中でき、いつも数時間があっという間にたっていました。

これです。  ↓   ↓

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周りにいる皆さんが黙々と勉強したり、作業したりしている、という精神的な影響も大きかった。
会話OKのスペースで休憩していると、スタートアップらしき会社の方々が元気にミーティングをしていたりする。それがまた刺激となり、私のやる気につながっていました。

ランチタイムのくつろぎ

アークヒルズにはたくさんのレストランがあるので、食べ歩きも楽しかったですし、
テラスの木のテーブルで持参したお弁当を食べることもありました。

広々としていて心地よいアークヒルズ・カフェ
閉店してしまったそうだが、メキシカンサンドのお店
トルタリッカにもよく行った。
アークヒルズのテラスにある広い木のテーブル
自分のためにお弁当を作るなんてめったにないことなので
記念撮影(笑)

アークヒルズというのは施設の規模の割に利用客が少なく、外のテーブルが取り合いになるほど混み合うことがまずありません。常に席に余裕があり、席間も広いため周りの人が気にならない。まるで地方都市のようでした。

時折マルシェが開催されるカラヤン広場や、庭園。「TechShop Tokyo」というシェアタイプのDIY工房も当時オープンし(今は閉店)、天井の高いおしゃれな空間で作業している様子をガラス窓越しに眺めたり。手作りが大好きな私は憧れたものです。
休憩時間すら、どこを歩いても楽しい場所でした。

爆発するかのように咲き乱れる桜の見事なこと!
スペイン坂の桜は一見の価値あり。

しかし、やむなく解約

取引先との秘密保持契約のためワークスペースでの作業が不可となり、やむを得ずライブラリーを解約しました(泣)
その後、家のそばに1人用の小さなオフィスを借りたりもしましたが……
ライブラリー時代に味わった楽しさや充実感、高揚感を取り戻すことはできませんでした、、、

ライブラリーに通っている間、ヒルズで開催される興味深いイベントをいち早く知ることができました。坂本龍一さんが、自身の映画音楽について語るトークイベントの感動は今でも忘れられません。
その2に続きます。

【ありがとう、そして、さようなら】アークヒルズライブラリー その2
坂本龍一さんトークイベント「〜映像と音の関係〜」

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